【ナルキッソス】死生観を叩きつけられる泣けるノベルゲーム

こんにちは(^O^)

 

感動するゲームはないかと探していたところナルキッソスというゲームの存在を知りました。

しかもSteam版で無料でできるらしい。

これはやるしかない!!と意気揚々にプレイした結果、3時間でクリアしたけれど3週間引きずるというとんでもないゲームでした。

 

ゲームの概要

ナルキッソスはテキストを読み進めるノベルゲームです。

一般的なそれとは異なりヒロインを攻略することもなければ、トゥルーエンドなどエンディングが分岐しているものでもありません。

ただただ読み進めるだけのものなのでゲーム性を求めるものではありません。

また、あえて演出も最小限にとどめているためそのほとんどが風景のイラストで構成されており、登場人物の姿はあまり見えないようになっています。

 

またナルキッソスは1つのゲームではなく、いくつも作品があります。

基本的に以下の販売された順番にプレイするのがオススメです。

ナルキッソス(本編)

ナルキッソス2

ナルキッソス 姫子エピローグ

ナルキッソス ゼロ

ナルキッソス スミレ

時系列はバラバラではありますが、この順番が一番分かりやすいです。

また外伝で小さなイリスがありますが、これらとは直接的な関係がないです。

 

無料で遊べるのは本編とナルキッソス2の2作品で、姫子エピローグを追加したセットやゼロ・スミレ・小さなイリスを追加で購入することができます。

そのためまずは本編と2を遊んでから追加購入を考えられるのがいいと思いますが、結局全部買ってしまうだろうと思います、私のように。

 

ナルキッソスの概要

このゲームで共通しているのは生と死のお話です。

外伝の小さなイリスのみ時代も舞台も全く違う上に他の作品につながりはないのですが、生と死のテーマは共通しています。

 

その他の5作品はお互いに繋がりがあります。

舞台は終末治療を専門とするホスピスです。

ホスピスとは完治の見込みがない余命わずかな人たちが人生の最期を穏やかに迎えるための施設です。

つまり、ホスピスで余生を過ごす人たちのお話と言うことになります。

このホスピスで過ごすこととなった人たちを描いたのがナルキッソスです。

ここでは簡単に5作品+外伝の概要を簡単に紹介します。

 

ナルキッソス本編

男子大学生の主人公はある日突然体調が悪くなり病院の7階にあるホスピスに移されてしまいます。

そこには自分よりも年下に見えるセツミという女性がすでにおり、ここの患者だけで共有される秘密のルールを教えてもらいます。

残り少ない時間の中でこの二人はどうするのか。

 

ナルキッソス2

ナルキッソス本編よりも6年前の話、セツミがまだホスピスに行く前の頃の話です。

セツミはとあるきっかけで姫子という年上の女性と知り合います。

姫子はホスピスの患者で、死ぬ前にやりとげたいことをセツミと一緒に叶えていきます。

これを読むと本編でのセツミの行動や考えをより理解できます。

 

ナルキッソス 姫子エピローグ

2作目のヒロインの姫子のお話です。

姫子には優花という親友がおり、その友情が描かれています。

優花は患者ではなく会社で働く普通のOLで、実は外伝以外登場している「皆勤賞」の存在です。

ヒロインではなく、終末患者の周りの人という立場として非常に重要な役です。

 

ナルキッソス ゼロ

ホスピスが生まれた経緯を知ることができる話です。

舞台は1960年と本編から何十年も前の話ですが、どんな思いでこの施設が作られたのか、患者だけの秘密のルールがどうやって生まれたのか知ることができます。

そしてエピローグでは本編のその後が描かれています。

元々PSP版の最終章として追加されたものですが、Steam版ではゼロとして名前が変わりました。

 

ナルキッソス スミレ

別のノベルゲーム「すみれ」のシナリオも同作者が行っていることからクロスオーバー作品として作られた作品です。

「すみれ」の登場人物が関わっている関係で一応その人物を掘り下げたパートもありますが、断片的過ぎて混乱する部分が多かったです。

内容は引きこもってゲームしかしてこなかったスミレに病気が発覚して22歳にしてホスピスで入院する話です。

そこに「すみれ」に登場するあかりとの交流が描かれます。

 

外伝 小さなイリス

中世ヨーロッパが舞台でホスピスは一切出てきません。

とある国のお姫様であるイリスは幼くして隣国へと嫁がされますが、あっという間に命を狙われる身となります。

生き残るために剣を覚え、人を殺すことを厭わなくなったイリスは死に様を探す騎士と出会い、国外逃亡を図ります。

 

タイトルについて

冒頭でも少し触れましたがタイトルのナルキッソスとは水仙のことで冬に咲く白い花です。

英字するとnarcissusですが、この作品では最後のsが外れてnarcissuとなっています。

その理由はゲームでは明かされませんが、話の内容と重なるためプレイ後にウィキペディアで確認することをお勧めします。

 

ネタバレなしの感想

このゲームをプレイした感想は一言では言い表せません。

わずか数時間で本編と2を終わったけれどもその日は放心状態でしたし、そこから3週間は主題歌をリピートしては登場人物の思いを理解しようと考え込むようになってしまいました。

そのため是非ともお休みで時間があるときにプレイしてください

 

考え込んでいたのは死生観についてです。

今まで死生観について考えたことなんてなかったのにそれを心のど真ん中に叩きつけられたようでした。

もし自分が間もなく死ぬとしたら自分はどうしたいのか、漠然と何度か考えたことはありますが、リアルな死を身近に感じたときにそれを考える怖さを感じました。

 

日本語では生きることと死ぬことは生死と言いますが、何故か観が付くと生死ではなく死生観と順番が変わります。

それはきっと死と向き合って生きることを観ることを指すからなのだろうと思います。

誰にだって最期は訪れる死という暗く悲しいものとちゃんと向き合うことで今生きている時間を大事にしようと感じるのだと思います。

だから、私は作品をプレイし、3週間引きずった果てに今を大事にしよう、生きた証を残そうと思いました。

 

私事ですが、実は今職場にガンを宣告された同僚がいます。

しかしその人がガンだということは本人から直接聞いたわけではなく偶然知ってしまいました。

すごくショックで悲しいことですが、本人から聞かされていないため聞けないでいます。

いつも明るいその人は周りに心配をかけたくないから打ち明けないのだと思います。

その気持ちを尊重すると知らないふりをしているのがその人のためであり、その人の前では自分も変わらず元気に接することが自分にできることなのだと思います。

何が正解かなんて誰にも分からないことですが、ナルキッソスをプレイして知った患者の気持ちを思うとそれがその人のためになるように感じます。

 

話は逸れましたが、この作品は考えさせられる上に泣ける話です。

死を前にしてその人たちは何を思い、その最期に向かっていくのか。

その生き様を見届けるとやはり泣けます。

この作品で何度泣いたことか。

泣きゲー好きならプレイしましょう。

 

またプレイして感じたのは温かさです。

形容しがたいのですが、プレイしていて寒い冬の昼下がり、陽だまりが窓から差し込むような感覚がしました。

特にすることもなく、コタツに潜って面白くもない日曜日の昼間のテレビを見ているような、あの惰性のような、行き場のないまどろみの時間を思い出しました。

非常に感覚的なことなので共感していただけないことだろうなと思います。

しかし作品では何度も「眩しかった日のこと、そんな冬の日のこと」というフレーズが何度も登場します。

何となく自分が感じた感覚と重なる部分があるように感じたので作品が伝えたいことを感覚的にも受け取れたのかなと思いました。

 

あとがきも必見

有料追加コンテンツである姫子エピローグなどには作者のあとがきが特典として付いています。

これを読むとナルキッソスという作品は作者の人生経験に基づいていることが良く分かります。

半ばノンフィクションのようなものでホスピスの舞台も、登場人物のモデルもいるそうです。

内容からしても実際に起こりうる内容なのでこういった事態が誰にでも起こるというリアルを感じさせられます。

 

まとめ

以上がナルキッソスの紹介です。

短い内容でありながら濃密な体験ができるこのゲームですが、死生観を考えるきっかけとなったことを思うととても意義があった作品と言えます。

実は私は本編と2をプレイしてから他の作品をプレイするまで半年以上時間を空けました。

そうでないともっと引きずると感じたからです。

「救いがないKeyゲー」とどこかで見ましたが本当にその通りで、やるせないく、無気力で、儚い気持ちになります。

今はスミレをプレイし終わった勢いで書いているのですが、今回はあとどれくらい引きずるのだろうと思っています。

ちなみにスミレを始めて間もなくクロスオーバー作品の「すみれ」もセールだったので購入しました。

こちらも終わりましたので詳しくはこちらをご覧ください。

hekoheko.hatenablog.com

 

それでは(^^)/~~~