こんにちは(^O^)
今回はすみれというノベルゲームを紹介します。
こちらはねこねこソフトというメーカーが15周年記念の時に発売されたゲームでPCでのみ遊ぶことができます。
私はDMMでセールのときに500円で購入しましたが、頻繁にこの値段になっているようなので手を出しやすいです。
私はねこねこソフトというメーカーを初めて聞いたのですが、実はこちら18禁ゲーム、いわゆるエロゲーメーカーです。
ということで例にもれずこのすみれもエロゲーです。
拒み続けたエロゲーなのに買った理由
実は私は生まれて初めてエロゲーをプレイしました。
以前紹介したこの大空に、翼を広げてもエロゲーではあるのですが、Steamで買ったので全年齢版でそういったシーンもありませんでした。
こちらも胸が熱くなるような青春部活ものでかなり良い作品だったのでオススメです。
正直ゲームを純粋に楽しみたいので買うのをためらいましたがとある理由から買うことにしました。
それはナルキッソスと繋がりがあるという点です。
ナルキッソスは以前の記事でも紹介しましたが、死生観を叩きつけてくるとんでもないノベルゲームです。
ナルキッソスには本編以外のエピソードもあるのですが、その一つがこの「すみれ」にリンクしています。
というのも、シナリオを手掛けたのが同じ方だからです。
そしてねこねこソフトが15周年だからナルキッソスと絡ませようとして生まれたのがナルキッソス・スミレというエピソードです。
ナルキッソス・スミレは10年間引きこもってゲームばかりしていた女の子が突然余命わずかになる話で、かなり心揺さぶられました。
このエピソードには今回紹介する「すみれ」の登場人物ががっつり絡んでくるので、これはどちらもやらねばという理由から購入に至りました。
ナルキッソスについてはこちらをご覧ください。
ゲーム概要
すみれはいわゆるノベルゲームでテキストを読み進めていき、たまに出る選択肢でルートが分かれるシステムです。
とはいえ、大筋が変わるほどの大きなストーリーの分岐はないので一本道で話を楽しめます。
ストーリーは主人公がネットで仲良くしている友達との交流を通じて前向きになっていく話です。
主人公は営業職、社会人2年目の男性です。
日中は仕事にいそしみ、夜はネットにふける毎日を過ごしています。
ネットでは健ちゃんとして多恵やピンクといったほかのプレイヤーと毎日雑談をして過ごしています。
しかしどんなに仲が良くてもお互いにリアルのことは詮索しないという絶対的なルールがありました。
そんなある日新しくコミュニティにモエという女の子が加入したことからお互いの関係が変わっていくというお話です。
ネタバレなしの感想
プレイした感想としてはストーリーが良かったです。
あらすじから何となく察することができるかとは思いますが、徐々にお互いにリアルでも関わりを持つようになっていきます。
そしてそれぞれの人物は悩みをリアルでは抱えています。
それを見て見ぬふりをしてネットでは何もなかったかのように明るく振舞っています。
それぞれの悩みは誰にでも降りかかりうるようなもので、私も同じように思い悩んだことがあるものだったのですごく響きました。
そしてそれを隠しながら過ごしているのも多くの人に共感できることに思いました。
話の終盤に話の全貌と言いますか、種明かしのようなものがあるのですが、ナルキッソス・スミレですでに知っていたことだったので先にこちらをプレイしておけば印象も違っただろうなと思いました。
どちらか悩んでいる方はまずこちらからプレイをお勧めします。
エロゲーということでそういったシーンもありますが、初めてのエロゲーだったので他と比べるものもなく、ただただこういうものなのかと思いました。
あとはねこねこソフト15周年記念ソフトということでこれまでの作品の登場人物と会話ができたり、それぞれのソフトの最初だけ遊べたりといろいろお得でした。
ナルキッソスの主人公とも会話ができたのですが、言動が本編と違っていてビックリしました。
ネタバレありの感想
ここからはネタバレありの感想となりますので、未プレイの方はご注意ください。
どんな感じだったか思い出すために簡単な流れを書きます。
お話は以下の3つの話の順番で展開します。
①すみれ編
②雛姫編
③あかり編
①すみれ編
健ちゃんや多恵、ピンクが雑談しているネットのコミュニティに偶然入り込んだものの、コミュニティの一員としてすみれことモエは打ち解けていきます。
ネット上では明るくクラスで人気者の女子高生ですが、リアルでは友達もいないぼっちの女子高生です。
休憩時間はいつも机に突っ伏して寝たふりをして時間が過ぎることを待っています。
ある日主人公の健ちゃんはなぜかすみれの家庭教師をすることになりますが、上手く会話もできません。
健ちゃんは名前や言動からこの子がモエだと気付いていしまいますが、それを打ち明けずにやり過ごそうとします。
しかしお互いの親が再婚することになり義兄妹となってしまいます。
突然できた家族にすみれは戸惑いますが、学校に迎えに来た健ちゃんをクラスメイトが彼氏だと勘違いしたことで明るくなっていきます。
しかしそれも結局バレてしまい再び寝たふりのぼっちになってしまいます。
最終的には健ちゃんの働きかけにより立ち直り、クラスメイトに「ぼっちで悪いか」と反抗したことで逆にクラスに打ち解けて寝たふりも必要なくなり明るさを取り戻します。
このすみれ編の辛い所は寝たふりしている挿絵です。
もうこの絵だけで辛いです。
すみれは別にクラスメイトにいじめられていません。
ただ自分の気持ちをさらせず、殻にこもってしまうのです。
頭の中では言葉でいっぱいなのにいざ人前では言葉が詰まってしまうタイプです。
だから自分を守るために寝たふりをするのですが、そのせいでさらに孤立するという悪循環。
こういった人って実際多いと思います。
自分は学生の頃そうだったかなと思うとそんなこともなかったのですが、自分を守るために殻にこもって反って自分を苦しめているのは自分でもしてしまうので共感してしまいます。
お話では主人公が救ったようになっていますが、それ以上に重要だったのは主人公の妹のさくらの存在だったように思います。
主人公の健ちゃんもぼっちで社会人として生きていくために愛想笑いばかり上手になったような人物で、だからこそすみれを自分と重ねて距離を置いてしまいます。
しかし主人公の妹はまだ小学生なのでそういった距離感は分からず、遠慮なしに新しく義姉になったすみれに一緒に遊ぼう、お風呂入ろうとコミュニケーションを取ります。
この強引さはすみれがぼっちから脱却する上でかなり重要だったと感じられます。
②雛姫編
二つ目のエピソードはピンクこと雛姫の話です。
ネット上のピンクは下ネタ大好き、おバカ炸裂のムードメーカーのような存在ですが、リアルでは誰とも仲良くしない心を閉ざした女子高生です。
多恵からの依頼で健ちゃんはリアルで雛姫と接触することになりますが、リアルの雛姫は健ちゃんを邪険に扱います。
そのくせネットでは何事もなかったかのように明るくおバカに振舞っており、その真逆な態度に健ちゃんも戸惑います。
加えて雛姫は放課後に公園に行っては何もしないで座って時間を潰すという謎の行動をとっています。
雨の日でもお家に帰らずにただ座っているだけの日々を過ごしています。
見かねた健ちゃんは毎日話しかけ、嫌がられながらもどうにか自宅に来てもらえるようにまでなりました。
そのまま夏休みに突入すると泊まり込みで滞在するようになりますが、相変わらずの人を拒絶する態度です。
そんな中みんなで遊園地に行き、雛姫も楽しめたと思ったら突入消息を絶ってしまいます。
雛姫は昔大切に思っていた父親を失ったという悲しみがまだ残っており、もう同じ思いをしたくないという理由から人と仲良くなることを避けていたのでした。
それを知った健ちゃんはずっとそばにいると誓うことで雛姫を救うのでした。
雛姫が抱えていた悩みは私もかつては持っていたもので、失う悲しみを味わうくらいならば仲良くなりたくないと思っていた時期がありました。
けれど、その悲しみはそれまで楽しい時間があった証拠で、その人のことを大切にしていた証で、悲しみに暮れる時間はその人と向き合うことができる大事な時間だと気付いたことで乗り越えました。
なので「そういう時期が自分にもあったな」と懐かしむ気持ちで見ていました。
そして雛姫編でもやはり妹ちゃんの存在はデカかったです。
全体的に話が暗いので妹ちゃんのおかげで軽くなった印象もありますし、雛姫にも容赦なくスキンシップを取るので心の変化に一役買ったように思います。
雛姫はすみれと違って逃げていたのですが、それでも妹ちゃんは必要な物語において存在だと再度感じました。
③あかり編
最終章であり意外な全容が明らかになるエピソードです。
多恵ことあかりは実は社長令嬢で大金持ちです。
しかし長年眠り病という病を患って10年以上長期入院しています。
ところが実際は寝たふりをしてここまで来ただけです。
しかしその寝たふりの間に人を不幸にさせてしまったと気付くのです。
健ちゃんも実はその昔あかりのところで検査入院をしたことがありましたが、あかりが睡眠薬を与えたせいで数日のはずが1か月の長期入院となってしまいました。
その当時明るく無邪気だった健ちゃんはその後根暗のぼっちの浪人生となったことをあかりは知り、自分のせいだと感じます。
雛姫に対してもあかりは悔いを感じていました。
実はあかりの父の再婚相手は雛姫の母親でした。
しかしあかりの寝たふりの長期入院のせいで父は仕事や家庭をちゃんと回すことができなくなり、自殺に追いやってしまったと感じています。
幼いころから引っ込み思案だった雛姫がこの父親に心を開きかけたところで自殺してしまったせいで雛姫は心を閉ざしてしまったとあかりは考えます。
こういったことからあかりは健ちゃんと雛姫にぼっちを脱却してもらうべくネットのコミュニティを作り、二人を誘い、3年もの時間をかけて絆を深めていったのです。
そして二人がぼっちから脱却したとき、自分は誰ともかかわらず、迷惑をかけずにずっと病院にこもって寝たふりをすることに決めていました。
最終的に健ちゃんがあかりを昔のように病院から引っ張り出すことであかりはぼっちを止めることとなります。
こうしてぼっちだった4人はリアルで顔を合わせるようになり、仲良くプリクラをとるのでした。
めでたしめでたし。
というのがあかり編とそのラストなのですが、ナルキッソス・スミレでここも一部プレイで来たので知ってました。
あかりの気持ちや目論見を知らずにプレイしていたらもっと驚けただろうなと思っていただけに残念です。
反対に序盤からあかりとしてどういう気持ちでこのセリフを言ったのかなどが分かったのは良かったです。
加えてあかり編は話の構成が複雑なのも特徴です。
実は3つの話が入れ替わり立ち替わり展開するので混乱する人も出ただろうと思います。
その3つが
-あかりと健ちゃんが出会った子供の頃の話
-その時に二人で作った作り話
-本編
です。
中でも作り話は何の説明もなく超能力が登場するので別の作品が始まったかと思いました。
あかりはネットでもリアルでも裏表なく明るい性格なのですが、本当は真逆の性格です。
ここがすみれや雛姫と大きく違います。
これは健ちゃんや雛姫への悔いをなくすために演じているのですが、本当の自分をリアルでもネットでも抹消するのはかなり心苦しいものであることから、あかりの覚悟を感じました。
明るい性格ながら時々真面目になるあの独特なテンションの移り変わりはナルキッソスの姫子を彷彿とさせました。
全体の感想
4人の異なる悩みを持つぼっちが心をさらすことで自分を見つめ、他者に心を開くことでぼっちを脱却するのは読んでいて素直によかったと思いました。
主人公の健ちゃんも自分とネットで演じている自分とのギャップに苦しみながら、自分を見つけ出す姿はつい応援してしまいました。
このゲームでは寝たふりがテーマになっており、主題歌のSleeping Pretendも寝たふりという意味です。
寝たふりそのものは序盤ですみれのことを指しているかと思いきや、あかりは10年以上寝たふりをしているというそちらも指しており、寝たふりは自分を守るために現実を遮断していることの隠喩だといえます。
自分の殻にこもっていれば傷つかないし、誰にも迷惑をかけない。
けれど幸せにはなれない。
だから傷つくかもしれないし、傷つけるかもしれないけど目覚める必要があるのだと前向きなメッセージを感じました。
私が大好きなBump of Chickenのオンリーロンリーグローリーには
笑われることなく恨まれることなく輝く命などない
眩しいのは最初だけ 目隠し外せ ほら夜が明けた
という歌詞があります。
私は高校生の頃にこの歌詞に勇気づけられて前に進むことができました。
寝たふりから目を開けるとき、最初は眩しいかもしれませんが、その先の景色は瞼の裏の暗闇よりもずっといいものだと思います。
あとは後半はエロゲー展開がなかったのは個人的によかったです。
あかり編に至ってはエロシーンは本編でなくアーカイブからでないと見れないようになっています。
あかり編は3つの話が入り乱れてただでさえややこしいので、これは正解だと思いました。
雛姫とのシーンは選択肢次第で発生するかどうかのもので、最初に遊んだときは発生しないルートだったらしく、ストーリーに集中できたのでよかったです。
そう思うと自分はエロ要素をゲームには求めていないのだなと感じました。
プレイしていて気になった点
ストーリーで未だに気になっているのはどうしてすみれはあのゲームにログインしたのかという点です。
あかり編で明らかになりますが、あのコミュニティゲームはあかりが作ったもので、それは健ちゃんと雛姫をそこに招くためのものでした。
そのためそのゲームに誘導するために細工をしたパソコンを二人に送っています。
要は健ちゃんと雛姫は出会うべくして出会っています。
しかしすみれは違います。
本編でもあかり自身からすみれは偶然だと言っています。
ということは、すみれは自力であのゲームに登録し、健ちゃんたちのコミュニティにたどりついたことになります。
初登場時に本名で登録してるようにすみれはパソコンに不慣れなのが分かります。
なのにどうしてあのゲームをやってみようと思ったのかがとても不思議です。
加えて健ちゃんと義理の家族になるなんて偶然の一言で片づける方が不自然に感じます。
健ちゃん自身もすみれと家族になったことが一連の変化の始まりのため、むしろこれがなかったらあかりがしたかったことは果たせなかったことになります。
実はあかりが再婚の立役者だったと言った方がまだ腑に落ちたように思います。
また、あかりは今書いたように悔いをなくすために行動していたわけですが、健ちゃんも雛姫もぼっちになったのは何もあかりのせいではないように思います。
あかりが勝手に二人をぼっちにさせてしまったと感じているだけです。
だから責任という言葉を使わずに悔いをなくすと表現しているのだろうと思いますが、やっぱり引っかかりました。
あとはすみれと雛姫は女子高生なので不純異性交遊は捕まるよとエロゲー初心者は思いました。
長々と書きましたが、プレイしてよかったです。
登場人物が抱える誰しもが感じるであろう悩みを私はすでに乗り越えていたものでしたが、だからこそ共感できました。
こういったエロゲーならまたしたいなと感じました。
それでは(^^)/~~~